【書評】ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

最近、未読で積み重ねられている本と向き合っています てるです。

「一生モノの課題図書」と、でかでか帯に書かれているのを見て、どんなかなーと思い、気になった本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読みました。

楽しみながらも考えさせられた本でした。おすすめです。

すこし紹介したいなと思ったので、高校以来に読書感想文的なものを書いてみようかと思います。

少しネタバレがあるかもなので気を付けてください。

この本の著者は日本人の母、その配偶者はアイルランド人。そして1人息子。

この3人がイギリスに住む。3人共にルーツのないイギリスで、息子は人種差別やアイデンティティに悩みながらも成長していく。それを見守る母と父、そんな実話の中には、今まで僕がふれることができなかった、だけどしっかり考えなければならない、これから必要になることがつまっているように思いました。

違うということ

みんなちがってみんないい

個性を大切にしなさい

こんなことを言われてきました。

しかし、求められてきたのは「みんな一緒」「みんなと一緒」でした。

同じ人は誰一人いないと、そんなことはわかっているけど、重要視されるのは、いかに集団としてまとまるかで、個を押し殺すこと。

違いを感じ、違いにぶつかり、違いから学ぶこと。

こういうことは、今の日本ではあまり体験できることではないかなと思います。

少なくともぼくの人生ではあまりありませんでした。

日本の国内でも違いって色々あるけど、あくまでも同じカテゴリーの中で、ちょっとした違いしかないような感覚があります。

大きな輪の中に常にいて、その中で小さなグループに分かれてるって感じかな。

でも世界の多国籍で多文化の中で起きていることは実際にはもっと複雑なんだと思った。

こっちかあっちか

わかりやすい違いは肌の色や瞳の色など目に見えるものになる。それでよく分類されてカテゴリーが生まれる。

自分と同じカテゴリーだと仲間意識が自然と生まれる。知っているものに対しては安心感を得やすいから当然のことかもしれない。ただ、仲間ではないものに対しての態度が問題になる。

仲間うちの常識や規律が正しいことで正義になりやすい。そして、それから逸脱すると悪となってしまう。

正義が厄介だと思った。正義はもちろんいいことなのかもしれないけど、正義を振りかざす者が出てくる。

正義を振りかざすのは正しくない。これだけははっきりと断言できる。

振りかざされている方の正義は違う可能性も往々にしてあるから。

今必要なもの「エンパシー」

本の中に「エンパシー」という言葉とそれに似ている言葉として「シンパシー」が出てくる。

シンパシーのほうはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情のことだから、自分で努力をしなくとも自然に出て来る。だか、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない。

ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー ブレイディみかこ著

ぼくが思うこの2つの言葉の大きな違いは視点だと思った。

シンパシーはあくまで自分から見て感じたこと。それに対してエンパシーは相手の立場から見て感じること。

これから多様性がますます増えてくるだろう日本で必要なのは、「エンパシー」なんだと思う。

価値観の異なる人々と接するときに、自分の立場からしかモノを見なければ、対立しか生まれやすい。

その対立を防ぎ、友好の懸け橋となる力が「エンパシー」なんだと思った。

さいごに

今まで差別などあまり考えてこなかったことに対して向き合うことができたと同時に、あることを思い出した。

昔海外で「イエローイエロー、ヘイ、イエロー」と言われたことだ。

そのときは差別されたんだろうけど、人生のなかで差別されて実害を受けたこともなかったから、嫌な気持ちすら生まれず、こういうのって海外に来るとあるんだなーくらいだった。

今思うと嫌な思いすらしない環境に居たんだなと思う。

それは良いことなのかもしれないけれど、学べる環境ではなかったということはデメリットなのかもしれない。

まあ過去のことをとやかく言っても仕方ないのでこのくらいにしたいと思います。

とりあえず、色々考えるきっかけになったし、読んでいて楽しかったので、おすすめです。

是非読んでみてね。

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